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WWDCの歩き方
1.WWDCとは
・WWDCとはなにか?
 Worldwide Developers Conferenceの略でアップル社が年に一回世界中の開発者を集めて、 新技術の紹介や開発にあたっての細かな技術を説明するためのイベントです。 それにとどまらずアップルの戦略的製品の発表の場であったり、開発者同士や開発者とアップルの技術者が直接交流する場にもなっています。 '02年まではアップル本社近くのSan Joseという街で開催されていましたが、 '03年からは少し離れたSan Francisco市内のMoscone Westという会場で行われています。いずれにしろアメリカの西海岸です。
・なぜ勧めるのか?

 WWDCでプレゼンテーションをしているのは、アップルの技術者で、各コンポーネントの開発責任者であったり、プログラムを直接実装している人本人であったりします。開発者本人が直接説明するのですから、これほど確実な情報はありません。また、最新機能の実装方法をいち早く聞き出すことは、自分の製品を新OSが発売されると同時に公開するためには必要なことです。

 iPhone/Mac Developer Programに参加していれば、WWDCで新機能が公表された数ヶ月後に同じ情報を入手できるので、そこから開発をはじめても構いません。でも、新機能の場合にはじゃあどこから手を付ければいいのか?ということが分からないのですよね?WWDCではその場でこうしましょうと手順を示してくれますから手を付けやすいです。

 '09年は、Snow LeopardやiPhone OS 3.0、iPhone 3GSの発表がありました。特にiPhone向け開発の情報は豊富であり、これからiPhoneアプリケーションの開発に取りかかるエンジニアの為に、基礎的な技術を解説するセッションも用意されていましたし、次のiPhone OS 3.0についての詳細な情報が入手できました。前年と同様に、'09年も日本でiPhone開発者向けイベントが開催されましたが、WWDC参加者には数ヶ月前に開示されていた訳です。

 '10年では、Mac OS XやMac OS X Server、iPhone OSの基盤となるCore OSの進化の方向性や、iPhone OS 4.0についての具体的な情報。iPhone(iPod touch)とiPadとの関連等が話されるのでしょうか?先んずれば人を制すとはこのイベントのためにある言葉かもしれません。

 最新情報の他にも、どこから手を付ければいいのかなどなかなかリファレンス文書などからわかりにくいことも、プレゼンテーションからわかることがあります。iPhone向けソフトウエアをこれから開発しようとしている人にとってはまさにとっかかりになるのではないでしょうか?

 会場内にハンズオン ラボというものが設置され、時間を決めて特定分野の技術者が集まっている部屋も用意されています。日頃、疑問を思っていることや、うまく動かなくて困っているコードを持ち込めば、その場で解決できるかもしれません。また、要望や意見などを投げかけたり、技術論を戦わせることだって可能です。

 そして、私が一番重要だと思うのが参加者同士の交流です。大手のソフトウエアメーカー各社のMac OS向けに製品を開発している人たちが、私たちと同じような一般参加者として大勢参加しているので、その人たちと気軽に話ができるまたとない機会です。大企業でなくても自分と同じような製品を開発している人や、自分の問題を解決してくれる製品を開発している人がいるかも知れません。そういう人と知り合い、場合によっては仕事につながることもあるかもしれません。

 自分のもつ技術や製品を他の人に知ってもらうことが、将来のビジネスチャンスにつながる可能性だって多いにあります。iPhoneアプリのように簡単に世界に販売可能な商品の場合に、各国に紹介してもらえるまたとない機会になるかも知れません。

・WWDC10

 '08年は、初めて満席のためSOLD OUTになりました。'09年も、やはり満席のためSOLD OUTになりました。'10年はWWDC 2010の発表が4月28日と開催日まで期間が短いため予想するのは難しいですが、今回もSOLD OUTとなる可能性があります。ひとえに、iPhone SDKに対する世界中の開発者の注目度は高いということなのでしょうか。

 我々Cocoa勉強会のメンバー内でも非常に注目度が高いのですが、従来のMacの開発者以外のいろいろな開発者もこの新しいプラットフォームに注目しているようです。携帯電話(あるいは携帯オーディオ装置)でありながら、Mac同様の高い表現力を使えるとあって、モバイル系アプリケーション開発者もこのWWDCには多数参加しているようです。

 でも従来のMac開発者にとっては、Objective-CやCocoaの考え方などを知っている分、彼ら新規参入組よりも有利なはずです。「Snow Leopard出たばかりだからあんまり新しい事ないよねぇ」などと言っている場合ではありません(笑。iPhone SDK以外にも何がでるかわかりませんよ。なにしろ、WWDCは年に一度だけ技術に焦点をあてたアップルのイベントです。アップルが将来の技術について対外的にメッセージを発する重要な場ですから、これまでも当日まで伏せられていた大きなテクノロジーが発表されたことは数えきれません。迷っているのであれば、参加したいですね。

2.事前準備
 さて、行くとなったら事前の準備が必要です。ここでは事前準備の注意点などを紹介します。
・日程調整

 WWDCは5日間通しで行われます。しかもアメリカ。どうしても前後1〜2日は移動に必要です。ということで最低8日は日本を離れないといけません。仕事で出張扱いにするにしても休むにしても1週間も仕事を抜けるのはなかなか難しいですね。この日程調整が、ある意味で一番の難関です。毎年、常連さんの間でも日程調整に失敗して行けなくなりましたという話をよく聞きます。

 通常、日程の発表は2〜3月頃で、5〜6月の月曜日から金曜日に開催されます。ですが、日程調整は日程発表よりも前に、その年の初め頃から考えていた方がイイでしょう。'06年のみ突如8月になり、せっかく6月に休暇を取れるようにしていたのに、急遽再調整が必要になって困ったという人もいたらしいです。今年は例年通り6月(6月7日〜11日)と発表されました。もう日程調整は済みましたか?

 

 さて、日程調整の仕方。会社から仕事で行ける人の場合でも、仕事のピークがそのあたりにくるととても行けませんよね。運用など顧客サポートのある人はやはり代わりに対応してくれる人を見つけておかないといけません。開発の人はその頃に納期があると難しいですね。開発スケジュールを決めるときに納期がWWDCの頃にこないように工夫をする必要があります。このとき、納期をWWDC前に設定してはいけません。開発後期になってから、仕様変更あるいは開発の遅れで納期が後ろにづれるのは往々にして起こることです。むしろ、WWDC直後に納期があるくらいのほうがいいでしょう。スケジュールが伸びても問題ないですし、予定通りに進んだ場合であれば最終試験のみ誰かに任せておくこともできます。もっともいいのはWWDCへの出発前にWWDC終了までの作業を終わらせてしまい、帰国してからリリースするというのが余裕があっていいです。ちなみに、WWDCに来てから日本でトラブルが発生してしまい、急遽片道チケットを購入して帰国した人も実際にいました。決して都市伝説ではありません。日程調整は慎重に。

 サーバー管理の仕事の人でも渡米中にトラブルがあり、昼間ホテルの部屋からリモートログインしてメンテナンスにいそしみ、帰国するまではいたらなかったが、セッションにほとんど出られなかった人もいたようです。会社の仕事でない場合、丸々1週間連続で休暇を取ることは日本ではまだ難しいことが多いですね。そういう人は5〜6月よりも7〜8月のほうが夏休みとして1週間程度連続になるところが増えているので休暇が取りやすいことがあるかもしれません。その場合でも希望の日程に休暇を取るためがんばりましょう。

 ただ休暇で出かけるとなると今度は家族の説得が大変です。妻子のある方ですと、夏休みは家族旅行ということが多いでしょう。そうでなくても丸々一週間の休みがなかなか取れない日本で、それだけの休みをとったんだったら、家族でなにかしたいというのは当然の要求。これを説得するのはとても大変です。資金的に余裕があれば家族旅行をサンフランシスコにしてみてもいいかもしれません。平日昼間は自分はセッションに出席して家族は観光。夜と休日だけ同一行動ということも。費用が余分にかかってしまう問題はありますが、休暇と仕事が一緒にできてしまうのでその分はカバーできるのではないでしょうか。奥さん一人だけで観光だと時間を持て余すという場合には、同じような境遇の人を捜して、奥さん同士で行動してもらうという手もあります。

 '06年はお盆休みの時期にかかってしまいました。お盆休みということで休暇は取りやすかったようですが、家族がいる人はやはり家族の説得に失敗して行けなかったというのが多かったようです。家族持ちの場合にはやはり8月のWWDCは難しいみたいなので、アップルさんには今後の日程を考え直してもらいたいものです。とにかく職場と家族の説得は慎重に時間をかけてやりましょう。

 

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